■まさに、幻の地大豆
2000年の夏、ある会合で「新潟にとてつもなく旨い大豆がある」という話を耳にしました。どんな大豆なんだろう・・・味噌屋として大豆には深く関わってきただけに、プロとしての血が騒ぎ、人づてに栽培している農家の方を聞いて訪ね、有機JAS認証の有機栽培をするため種豆を分けていただき第一歩を踏み出しました。
そして、金沢でスケールの大きな有機栽培し有機認証取得も取得している井村氏に、マルカワみその特注委託として「さといらず」の特別栽培をお願いしました。すると井村さんは、生の豆をポンと口に放り込んで・・・ん!これは旨い豆だ。やってみよう。と快諾をいただきました。やった!これがそして、とにかく分けていただいた貴重なさといらずのわずかな原豆(種豆)を増やすところから始めよう。と、栽培への挑戦が始まりました。
■すべては、鳥のエサ?
2001年6月。見渡す限りの広大な有機畑に、最初の「さといらず」の種豆が撒かれました。さて、どんな豆ができるだろう・・・期待に胸が膨らみました。が、2週間ほどして井村さんから悲しい知らせが届きました。撒いたばかりの「さといらず」が、ほとんど鳥に食べられて全滅してしまった。との知らせでした。え?!そんな馬鹿な・・・駆けつけてみると、「さといらず」の多くが、ものの見事にカラスや野ハトたちによって土の中からほじくり出されついばまれていました(泣)。広大な畑のほんの一角に撒いていただいたのですが、他の大豆は全然無事なのに「さといらず」だけが・・・鳥たちは本能的にどの豆が美味しいのかを知っていたようです(悔)。その秋、鳥たちの食害から逃れ何とか生き残こり実をつけた、わずかな「さといらず」が収穫されました。
2002年6月に、2年目の栽培に挑戦しました。「さといらず」は非常に晩生(おくて)の大豆で、収穫は11月も下旬。へたをするとミゾレが降るような時期になります。通常の大豆ならとうに収穫が終わって、農家の方がくつろいでいる季節。これも、「さといらず」を栽培したがらない理由のひとつかもしれません。私が調べた範囲で、この「さといらず」を使った商品は、津南地方の一部に豆腐などがあるだけで、ほとんど皆無の状態。栽培の難しさが商品化しにくい理由なのかもしれません。この年は、ようやくまともな収穫ができました。しかし、来年播種用の種豆を確保するのが目的で、まだ味噌を仕込めるほどの量は確保できませんでした。
■2003年秋収穫のさといらずを、2004年1月大寒に、初めての仕込み。
2003年6月、3度目の「さといらず」の播種。熱い夏で干ばつに合いましたが、足掛け3年かけて、少しずつ増やしてきた「さといらず」は、その秋には、翌年の種豆用のものを除いても、300キロほどの余裕ができました。そこで、ついに念願だった味噌への初仕込みに挑戦。吸水させてみると、3倍以上に膨れポッテリと実に旨そうになります。味噌のプロとしてみると、吸水率の高い豆は味噌づくりに最適の豆なのです(北海道産のトヨムスメなども吸水が抜群にいい)。会長も、ぽってりした「さといらず」を見て・・・こりゃ、いい豆だなぁー・・・と独り言のようにつぶやきました。温度計が5度を下回る大寒の1月、「さといらず」を初めて仕込み、木樽に入れて蔵の奥で熟成の眠りにつかせました。
■2004年9月、東京で「さといらず」初公開。
2004年の夏。近年にないほど異常な暑さが続き、木樽の中の味噌たちはことの他熟成が早く進みました。
8ヶ月ではまだ「若い」かな・・・と、樽の重石を取ってきると芳しい香りが漂います。テイスティングしてみると、味噌屋として長い間いろんな味噌を造ってきましたが、おお!という何ともいえない深い旨味がしました。そこで、2004年9月21日〜23日までビッグサイトで行われた「オーガニックエキスポ2004」の自社ブースで初公開することにしました。商品名をあれこれ考えたのですが、「(煮豆などの料理に使う時に)砂糖が要らないほど美味しい大豆=砂糖要らず=さといらず」というネーミング以上のネーミングはない・・・ということで、品種名そのまま「さといらず」と名付けました。
会場では、畑から持ってきた「さといらず」の豆の苗も展示。お客様の反応は非常に好評で、やっぱり味噌の旨味は大豆が決めるんだということをシミジミと感じさせられ、こだわり抜いたことがやっと報われたきがしました。会場で多くのお引き合いをいただき、11月からいよいよ製品化し販売を開始。「このお味噌、なんて美味しいの!」など、ご利用いただいたお客様から、嬉しい声をいただきました。この声に応えて、2005年からは栽培面積を少しずつ増やしていく予定でおります。マルカワみそでしか味わえないオリジナル味噌「さといらず」の旨味をぜひご堪能くださいませ。
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